輪島を訪れたときギャラリーで見かけて、すっかり魅了されてしまった、山口浩美さんのうつわ。

漆器、特に蒔絵の施された輪島塗というと、やはり特別な器というイメージがあった。豪華でかしこまった、贅沢なもの。でもその山口さんの漆器は、とてもモダンだった。蒔絵がとてもかわいらしくて、詩的な雰囲気が漂う。それまでそんな漆器を見たことがなかった。でも私にとってはぱっと手を出せる価格ではなかったので、ため息をついて眺めながら、そのときは諦めることに。

しかし帰宅してからもずっと、その器が頭から離れなかった。山口さんが東京の百貨店で個展を予定されているという噂を聞いて、めぼしい百貨店のサイトをたびたびチェック。数カ月越しで、漸く再会することができた。

張り切って初日に出かけたので、嬉しいことに山口さんともお話しすることができた。もうひとつ、とても素敵な盃(高台が付いた小皿)にも惹かれて、大いに迷う。山口さんにも色々とアドバイスして頂き、やはり最初に一目惚れした器に決定。

つたない写真であまり良さが伝わらないかもしれないが…。この器は「氷菓文」という、琥珀羹やパート・ド・フリュイのような砂糖菓子に着想を得た文様だそう。小さな四角形の蒔絵が宝石のようで、光の当たる角度で色や輝きが変わり見飽きることがない。螺鈿の貝材の違いだけではなく、裏に銀箔を貼ったりして、違いが出るようにしているとおっしゃっていた。

山口さんご自身から、器に込めた想いや使い方を教えていただけたのも良かった。後日、山口さんから素敵なお手紙もいただいて感激。

もとはデザートカップとして作られたものだそうなので、朝、ヨーグルトを食べるために毎日のように使っている。すぐに洗って拭きあげる余裕のある日に限るけど。

冒頭の写真は文様にちなんで、名古屋の花桔梗というお菓子屋さんの「シャンパン寒氷」という寒天菓子を合わせてみたもの。仙台の冬限定のお菓子「霜ばしら」を盛ってみたり。

器として使うときも、ただ置いてあるだけでも、目にするたびに幸せな気持ちになれる。そんなふうに思えるものってそうはない。ずっとずっと大事に使っていこうと思う。